構造改革のための25のプログラム
第一節 官企業の全廃がもたらす経済の覚醒
プログラム十一
200万人が失職するが600万人の職が生まれる

 以上、述べてきた”行政企業”の廃止にともなって、二〇〇万人以上の離職者が出るだろう。二〇〇万人というのは、特殊法人・認可法人関係の約七割と公益法人・地方公社関係の約四割をあわせた人数である。
 しかし、官制経済から市場経済への革命が行われれば、市場の一部が活性化され、行政企業に活動を封じられていた経済分野で、当面、少なくとも六〇〇万人の職が創出されるだろう。これまで行政企業が占有していた事業が市場に放出されると同時に、行政企業維持のために設けられていた行政の権限や法規制が取り払われ、市場で資本の拡大再生産活動が生まれるからだ。
 しかも、二〇〇万人の離職者といっても、この中には公務員などとして官公庁からすでに退職金を受けたことがあり、年金なども十分に保障されている人々も多い。たとえば地方公社に勤める五〇万人のうちの半数はそのような人々である。残りの人々にしても、厳しい民間の雇用環境からみればおおかた左うちわの行政企業が廃止となったもので、一時的に職を失したからといっても、それは理解してもらわなくてはならない。(雇用問題については別途触れる)
 とはいえ、一般の職員に対しては、二年間ぐらいの「特別失職保障」を準備すべきである。このための予算は、莫大な無駄遣いからすればわずかなものである。こうした一連の断固たる措置のうえに、第二段、第三弾の変革プログラムを打ち出すのである。