構造改革のための25のプログラム
第二節 権力の市場からの退却
プログラム十二
特別会計、財投、補助金を原則廃止する

 わが国の財政が「特別会計」や「財政投融資」という”裏帳簿”と「補助金」という”魔薬”によって構成された利権システムに堕していることは、第一章で説明した。権力による市場支配を財政面で支えているこの呪われた「御三家」を取り除くことは、経済の再生と健全な社会の復活にとって不可欠である。
 「特別会計」については原則として五年間で原則として全廃することを前提に見直すべきだ。また、省庁ごとの所管制を止め、とりあえず、二〜三年の暫定措置として全体を財務省の所管として国民に見えるものにすべきである。そのさい、現行の三八種類を一本化するとともに、少なくとも四分の一の規模(約八〇兆円)に縮小し、透明かつ簡素にする必要がある。
 廃止または抜本的見直しの方法や緊急度は、事業系、保険系、管理系、融資系、整理系など特別会計の性質によって異なる。港湾設備、空港設備、道路設備など事業系の特別会計と、産業投資、開発資金融通など融資系特別会計、および電源開発促進、石油・エネルギーなどの整理系特別会計の大部分は直ちに廃止すべきである。
 また、従来から九種類の税金が一般会計に入らず直接特別会計に投入され、国民にとってみれば納めた税金の具体的使途が国会の議決に付されないため半ば行方不明の状態であった。こうした不透明を放置するわけにはいかない。税金はすべて正規の一般会計に入れるべきである。
 さらに、従来から国家公務員の給与等人件費も、半分以上が特別会計から支出されている。国家運営の基本的支出の一つである人件費・管理費について、このような不透明・不明朗は許されない。
 年間四〇兆円の規模をもつ「財政投融資」制度は市場破綻の元凶であるから早急に廃止すべきである。
 「補助金」も、基本的に好ましからざる制度である。したがって”公共事業”や財投活動に関わる「補助金」はスケジュールを立てて早急に全廃しなければならない。
 ただし、現実問題としてすべての補助金を一挙にはいしするわけにはいかない。とくに教育、福祉、環境保護関係と仕掛かり中”公共事業”の地方負担分に対する交付金等は経過的な措置が取られなければならない。
 また、民間が担っている福祉事業等に関する補助は将来、市場経済への移行と税制改革の進展の中で、(税の選択的納付としての)民間からの寄付に支えられるような誘導が必要である。もちろん、基礎的な福祉・教育・医療は中央・地方の政府予算で責任を持つのが憲法上も当然であり、それが前提の話である。