平成十二年十月十三日受領
答弁第一号
内閣衆質一五○第一号
平成十二年十月十三日
衆議院議長 綿貫民輔 殿
衆議院議員石井紘基君提出超低公害新自動車燃料「ガイアックス」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員石井紘基君提出超低公害新自動車燃料「ガイアックス」に関する質問に対する答弁書
一について
先の超低公害新自動車燃料「ガイアックス」に関する質問に対する答弁書(平成十二年九月一日内閣衆質一四九第五号。以下「先の答弁書」という。)二についてで述べたとおり、御指摘の「ガイアックス」については、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第七百条の三第三項から第五項までに規定する燃料炭化水素油に該当し、自動車の内燃機関の燃料として販売又は消費した場合には軽油引取税が課されることとなる。現行地方税法上、燃料炭化水素油への軽油引取税の課税は、先の答弁書で述べた「窒素酸化物その他の有害物質の排出状況」や「「ガイアックス」の自動車部品の耐久性に及ぼす影響」のような環境保全上の効果や自動車の安全性への影響に左右されるものではない。
また、一般論としては、環境問題に関する税制面での対応は、国及び地方の環境政策全体の中で税制をどのように位置付けるのかということを踏まえながら、我が国の経済活動に対する影響や国内外における議論の進展を注視しつつ、環境負荷の原因者に対して負担を求めるべきという環境政策における原則を基本として、幅広い観点から検討を行うべきものと考えている。
二について
先の答弁書三についてで述べたように、環境に配慮した商品のうちどのようなものに補助又は助成を行うかについては、その商品がどのような環境保全上の効果を有するかということやその商品を今後どの程度普及させる必要性があるかということ等に応じて個別に判断すべきものと考えている。「ガイアックス」については、このような補助又は助成を行うか否かの判断を下す前に、現在のところ、環境保全上の効果及び自動車の安全性への影響が必ずしも明らかではないと考えている。
三について
「ガイアックス」を試験研究用とみなしてよいのではないかとの御指摘であるが、現行地方税法上、軽油引取税は、試験研究目的か否かにかかわらず一定の要件を満たせば課されるものである。
四について
「ガイアックス」については、現在、環境保全上の効果や自動車の安全性への影響が必ずしも明らかではないところ、政府としては、「ガイアックス」に関する情報収集に努めているところであり、今後、「ガイアックス」使用時の自動車排出ガス試験の実施等を予定しているところである。
五について
燃料炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として販売した場合の軽油引取税の課税については、当該販売した者が都道府県知事に対し申告を行い、当該申告に係る税額を都道府県に納付することとされている。しかしながら、このような申告がされない場合には都道府県において必要な調査を行い、申告すべき課税標準量及び税額を決定することができるとされている。
このように、各都道府県においては、申告の有無等によってその取扱いが異なってくる場合もあり得るものである。御指摘の高知県の事例については、申告がなかったことから法令に基づき必要な調査を行った上で、適正な手続により決定を行ったものと承知している。
燃料炭化水素油を自動車の内燃機関の燃料として販売する場合の「自動車」とは、軽油引取税の性格から、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車のうち道路において運行の用に供することができるものをいうものであり、また「内燃機関」とは、シリンダー内で燃料を爆発燃焼させ、その熱エネルギーによって仕事をする原動機をいうものと解する。
六について
我が国の道路整備の現状にかんがみれば、今後とも道路の計画的整備を図る必要があり、受益者負担の理念に基づき自動車利用者が道路整備費を負担する道路特定財源制度は、一定の合理性を有するものと考える。
なお、一般に特定財源制度については、資源配分の硬直化をもたらすおそれもあり、その時々の財政需要の優先度や財政資金の適正な配分といった観点を踏まえながら、その妥当性については常に吟味していく必要があると考える。